門光子・写真

Profile | プロフィール

門 光子
東京に生まれ、幼少の頃よりピアノを学ぶも、古典作品よりも同時代の音楽に興味を持つ。日本の若い作曲家への委嘱初演を含めた意欲的なプログラムで日本国内のみならず、海外でも公演を行う。
近年は、より音楽の本質に迫る柔軟な姿勢で、中世のグレゴリオ聖歌から現代のミニマル、ジャズ、またアジア、南米、東欧、イスラム圏などの汎・非西洋へと拡がり、時代・地域とジャンルを超えた音楽を摸索する一方、内外の多岐にわたるアーティストとのコラボレーションも積極的に展開している。
CDは現代日本のピアノ音楽の美を結集した「風の記憶」、アジアの美を追求した「東方逍遥」、人間の根源的な哀しさと祈り、束の間の歓びを込めた「アクロス・ザ・ユニバース」の3作をリリース、いずれもその知的で独創的なアプローチが高い評価を得ている。

Reviews | レヴュー

門光子は、われわれの世代の最も傑出したピアニストのひとりだ。その繊細なタッチは、類い稀な美意識と情熱を伴って、すこぶる豊かに響く。彼女の演奏を聞くということは、精神的な体験となる。

(アンドリュー・ヨーク/作曲家=ギタリスト)

限りなく深い呼吸に満たされている門光子のピアノを聴くと、私は雲の浮かんでいる高い青空と、穏やかなそよ風を感じる。そこには限りなく豊かな沈黙の音楽がある。それは、日常を支配するエゴの呪縛からいつの間にか聴く者を解放し、穏やかな孤独と瞑想のうちに、「他者への優しさ」を取り戻させてくれるだろう。このような音楽なら、わたしは毎日でも聴いていたい。

(林田直樹/音楽ジャーナリスト)

カドミツコ—それは鍵盤の上をあでやかに踊る妖精の名ではなかったか?
白と黒のまだら模様のはざまを飛翔する、絣縞をまとった粋なスピリット。
その背中に生えた羽には繊細で奥深い耳がそなわり、音のかすかな始まりから最後の響きまでを精確に聴きとる。その指先は淡雪の柔らかさで音の触覚を優美にとらえる。日常に飽いた私たちの五感に、その妖精は、もっと遠くへ、さらなる不思議へ、とたえず呼びかける。

(今福龍太/文化人類学者)

私は、車で移動する時はいつでもできる限り門光子のCD「風の記憶」と「東方逍遥」を聴く。特に夜の時間にはそれらは至福のものになる。

(パウロ・ファツィオ—リ/ファツィオーリ・ピアノ社長)

凛とした冬空のしたで大きな樹の幹に触れたとき、”ああ流れているのがわかる”と門さんは言った。見えない生命の流れを感じとるその手は、未知の音をつむぎながら、わたしを遥かな地平線へ連れてゆく。

(港千尋/写真家)

門光子さんのしなやかな手と指。その先からは、天空に向かって響きの靄(もや)が上昇しているように感じます。その靄に光りが差して乱反射するかのような反響し合うピアノ。そこに、さらなる響きの靄がたちこめてくると、音の流れる方向を見失ってしまうのです。門光子さんの響きの靄につつまれるような無方向な音楽を、こらからも作っていきたいです。

(藤枝守/作曲家)

新たな作品、着想、技法、そして響き、私にとって門光子は真のピアニストと言える。彼女がピアノという楽器の完成の過程に興味を持ち、ファツィオーリを「魔法の箱」として選んだのはごく自然な事だ。私は、これらの録音が人々を魅了し、大成功するのを確信する。

(ジョス・ファン・インマゼール/指揮者・ピアニスト)

ここには日常生活とは違った特別な時間が流れている。総じて、弱音を中心とした、瞑想にも通じる世界。門の演奏は、一見クールな装いながらも仄かな温もりを持ち、普遍的でソフィスティケートされている。プログラミング、演奏家の個性、ピアノ(ファツィオーリF278)、ジャケット、それらすべてが一つのコンセプトに貫かれていてCDそのものがアートの次元に高められている。持っていて嬉しい。ダウンロードもコピーも簡単にできてしまう時代にCDが行くべき道はこれしかない。

(「Across the universe」CD評:那須田務/音楽評論家)

Top  Concert Project  Profile / Reviews  Discograpy  Piano Lessons